“一個上の先輩” “彼は一個下で…”
「これは正しい日本語の使い方ですか?」という質問が日本語を学ぶ方からよく来ます。確かに私たちはこんな言い方、していますよね。
歳(とし)や学年の違いを表す言い方なのですが、“一つ上の先輩” なんて「〜つ」を使う言い方もありますね。
「~個」「~つ」は日本語文法で言うところの助数詞(じょすうし)。
紙やシャツ、切手などの薄いものだと「枚」
ペットボトルやペン、キュウリなど細く長いものは「本」
テレビやパソコン、車などの機械には「台」
このように数えるものによって一緒に使う言葉が決まっているわけですが、このように固定した助数詞とは別に多く使われているのが「〜個」と「〜つ」ですよね。
歳、学年という意味で使うのであれば、「一歳上」「一年上」の方が適切な使い方と言えそうですが、歳や学年にも「〜個」「〜つ」が使われているということです。
果たしてこれは間違った使い方なのでしょうか?
コミュニケーション優先、という観点で考えれば、どんな言い方をしていても相手としっかり情報が共有できているなら、つまり、“伝わっている” のなら正しいも間違いもない、とも言えます。
でも…
使い方が分かれる言葉というのは、ちょっと深掘りしてみるとおもしろいことがわかったりするんです。ということで、しばしお付き合いくださいませ。
結論から言うと、
「一個上」は正しくありません!
まず、数を数えるときの “いくつ?” や “ひとつ”。
年齢を数と見るなら「ひとつ上」のほうは問題のない使い方だと言えます。
次に、“リンゴが一つ” “リンゴが一個”。
どちらも可能な言い方です。「~つ」も使えるし「~個」もいける。
ということは、歳や年齢の「~個」も?
使用の範囲が広がりです。
では、それが正しいかどうか?のお話です。
助数詞「~個」の決まりとしてあるのは、〈形があって固形のもの…〉。残念ながら「一個上」はNGということになります。
文法規則上は、ですが。
日本語を学習する方からも質問の多い「個」問題。
聞かれたら、こんなふうに答えてみてはいかがでしょう。
『歳や学年の差に「個」を使う人がいる。
「個」の本来の使い方とは違うが、広く使われている使い方でもある。
だから〈個=歳、学年〉も頭に入れておくと良い。
ただ、カジュアルに聞こえる言葉でもあるので、「~つ」を使う習慣をつけることをお勧めする』