外国人に優しい日本語

外国人に伝わる日本語 PART2

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すぐにできる日本語の見直し

6 なるべく敬語は避ける

「スムーズなコミュニケーション」という観点に立つと、敬語の重要性は低いと言えます。

よく「日本語は敬語が難しい」なんてことを耳にしませんか。

我々日本人が外国人に対して「敬語って難しいでしょ〜」と言ったり、
外国人自身が日本語の難しさについて話すときに必ずと言っていいほど「敬語」は話題にのぼります。

敬語というのは、そもそも相手を敬ったり相手と自分の関係性(上下、ウチソトなど)を考えて発言することで
コミュニケーションを円滑にするために使用するものです。

しかし、「人を敬う気持ち」を言葉に反映させることがない言語を使う人達にとっては、
敬語はただただ難解で、複雑に感じるだけなのです。

決して敬語が不要だと言っているわけではありません。

言葉で人を敬う気持ちを表せるなんて素晴らしいと思いますし、
それを使いこなす日本人もすごいと思います。

しかし…

敬語を使わないと失礼

本当にそうでしょうか?

例えば次の二つの文を見てください。

・昨日は何時に帰りましたか。

・昨日は何時にお帰りになりましたか。

相手が目上や立場が上の場合、下の文のように敬語を使うのが普通ですが、
上の文を使ったからといって決して相手に「失礼」だとは思いません。

では、「外国人に伝わる日本語」という視点で考えると、
上の二文のどちらが外国人に「伝わりやすい日本語」だと思いますか?

断然、上の文なんです。

相手を敬うのは素晴らしいことですが、自己満足ではいけません。

「伝えて、それが伝わって」初めてコミュニケーションと言える

のだと思います。

召し上がる 拝見する お目にかかる ご覧になる 申し上げる…

難解な敬語を使って示す「相手を敬う気持ち」
外国人には私たちが期待するほど伝わっているでしょうか?
外国人に「伝わること」を目的とするなら、敬語の優先順位は高くありません
それよりも大事な要素は沢山あります。

職業上マニュアルがあり、全ての相手に敬語を使った話し方をしなければならない。

こんな方も多いでしょう。

しかし何度も言いますが、

相手に伝わっていなければ、自己満足で、不親切です

「相手のことを考えて」「親切に対応しようと思って」いるのに、全く逆の結果になってしまっているのです。

まずは、外国人と接することが多い方々には、それを覚えておいていただきたいと思います。

「です・ます」で十分です。

7 スピードに気をつけて話す

「ゆっくり話す」というのは、自分が想像しているよりずっと難しいものです。

試しにやってみてください。
頭の中にある言いたいことを忘れてしまいそうで、とても話しにくいと感じると思います。

当たり前ですが、日本人相手だとそんな必要はないので、
どの程度で話すことが「ゆっくり」なのか、普通の方はわからないんですね。

「子供に話すぐらいでいいんでしょ」と思うかもしれませんが、

子供はネイティブです。

逆をイメージしてみてください。

外国人の親が自分たちの子供に話しかけるのと同じスピードで私たちに話しかけたとしたら…
おそらく私たちはチンプンカンプンでしょう。

わかりにくい原因のもう一つは、一つ一つの言葉に切れ目がないことです。

切れ目なく流れるように話してしまうと、一つ一つの言葉が認識できないことがあります。

文全体を「ゆっくり」がわかりにくい場合は、「ポーズを入れて」話してみてください。

日本語の初級の教科書では次のように文が書かれています。

私は きのう 友達と 渋谷へ 行きました。

「分かち書き」と言うのですが、これは一語一語を認識できるようにこのような書き方をしています。

この「分かち書き」を頭の中にイメージしながら話してあげると、外国人に伝わりやすくなります。

ぜひ試してみてください。

8 「ら抜き」をしない

外国人には、とにかく「正しい文法」で話して欲しいと思います。

問題なのは、我々日本人がその「正しい文法」を意識していないということです。

日本語に限らず、すべての言語は時間とともに「使いやすく変化している」と言えます。

ただ、この使いやすい形は、外国人にとっては「わかりにくい」んですね。

僕も日本語を教えている外国人達によく言われます。

「勉強した日本語をあまり聞かない」

「教室の日本語と外の日本語がぜんぜん違う」

彼らの学習段階がどのくらいなのかにもよりますが、
初級段階から上級に至るまでこれらの不満は漏れなく聞きます。

なぜでしょう?

僕はいつも彼らに言っています。

「私(教師)がこの教室で話している日本語は、日本人が普段使っている日本語ではない。
私の日本語が理解できるようになったからといって、日本語がわかるようになったと思うな」

と。

つまり、外で実際に使われているものとは違う日本語を教えているということです。

もちろん、正しい日本語を教えているのですが、

「正しい日本語」と「使われている日本語」には大きなギャップがある

ということです。

ですから、「我々の言葉に慣れろ」ではなく、我々が彼らの学んだ「正しい日本語」を使うことで、
お互いのための「共有できるコミュニケーション」がグッと近づきます。

 

・明後日の午後は来れますか? (→来られますか)

・こちらの情報はホームページで見れますよ。 (→見られますよ)

 

「ら抜き」も、もちろんテキストでは出てきません。
正しい日本語ではないんです。

しかし実際は、日本人の多くが何の違和感もなく使っていますよね。

外国人と話すときは、こんなところにも少し気をつけたいものです。

9 可能形ではなく「〜ることができる」

・この書類、明後日までに出せますか。

・この書類、明後日までに出すことができますか。

上が動詞の可能形を使った文です。

普段日本語を教えていて感じるのは、
この「可能形」という動詞の形がなかなか外国人学習者には定着しないということです。

何のことだろう?

こう思われた方も多いことでしょう。

日本語教育では、「可能」「できる」ことを表す動詞の形を「可能形(かのうけい)」と呼んでいます。

読める 書ける 食べられる 見られる できる 来られる

これらが動詞の「可能形」と呼ばれる形です。

我々は普段からこの可能形を使って自分のできること、許される状況、機械の機能などの説明をしています。

もちろん、日本語学習でもこの動詞の形はしっかりと勉強するのですが、
使えるようにならない外国人が非常に多いのです。

ということは、

言われても理解できない可能性も高い

ということです。

可能形は元の動詞の形を変化させます。
可能形に変化させた文ではなく、「〜ることができる」という言い方をした方が、
重要なことを伝達したり、指示を出したりする時は通じやすくなります。

どちらも意味は全く同じです。

「〜ることができる」は2ヶ月ほどで、「可能形」は4〜5ヶ月経ってから学習します。

定着しないのは、最初に出てきた言い方のインパクトが強い、ということが挙げられるかもしれません。

可能形が通じていないと感じたら、「〜ることができる」を試してみてください。

10 「望ましい」「お勧めする」「なるべく」などの曖昧な表現方法は避ける

直接的な表現を避ける日本人。

特に、否定的なことを言ったり、本人が聞きたくない忠告をしたりするときには、
表現を柔らかくしようとします。

敬語と同じで、これも「相手のことを思いやって」こそなのですが、
相手が外国人の場合は間違って伝わる可能性が大きくなってしまいます

気をつけなければならない日本語の使い方です。

病院でよくある「指示」を例に出してみます。

・あまり刺激物は摂らない方が望ましいですね。

・お風呂は数日入らないことをお勧めします。

・なるべく、アルコールは控えて欲しいですね。

 

まず、外国人にとって婉曲表現自体も難しいのですが、

「はっきりと」言わなくても相手の意図を汲んで行動できるのは日本人だけだ

と思った方がいいです。

「望ましい/お勧めする/控えて欲しい」

これらは自身の希望を言っているだけで、相手への指示にはなっていません

しかし、繰り返しますが日本人の場合、
自分の気持ちを伝えるだけで相手はその意図を汲んで行動するように習慣づけられています。

これは日本で育っていない外国人には通用しません。

ですから、「直接的な表現は控える」のではなく、シンプルで、はっきりとした表現方法を選んでください

・刺激物はダメです/食べないでください。

・〇〇日間、お風呂に入らないでください。

・お酒は飲みません/お酒を飲んではいけません。

 

その方が外国人には「わかりやすく、ありがたい」のです。

このように外国人と話すときは、我々が少し考え方を変える必要があります。

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