社内でのコミュニケーション改善に役立てていただければ幸いです。
普通体とは
普通体(ふつうたい)と丁寧体(ていねいたい)。
耳慣れない言葉かもしれませんが、
日本語教育では日本語の形を大きく二つに分け、このように呼んでいます。
私たち日本人は普段この二つの形を状況に合わせてしっかりと使い分けるようにしています。
【普通体】
「です・ます」ではないもの
【丁寧体】
「です・ます」
来週休みを取りたい。
来週休みと取りたいです。
先方に電話した?
先方に電話しましたか。
それぞれ上の文が普通体で、下が丁寧体です。
普通体はいつ使う?
さて、ビジネスシーンだと丁寧体と普通体の使い分けは非常に大切なものになってきます。
営業職についている人や、接客業の場合は言葉遣いの研修があるぐらいですよね。
お互いの関係に大きく影響を及ぼすほど日本社会では重要なものです。
「タメ口」なんて言いますが、日本人同士でも使う相手や場面を間違えると大変なことになります。
それは外国人といえども同じで、日本社会で働く以上使い分けができるに越したことはありません。
ちょっと考えてみてください。
Q. 普通体はどんな時に、どんな人に使っていますか。
Q. また、どんな媒体で目にしますか。
・友達、家族、上→下
・相手との距離を近づけたい時
・日記、新聞、報告書、小説、キャッチコピー…
・(引用、伝聞)
この中で「ビジネス」「コミュニケーション」ということを考えた場合、
関係があるのは次の二つです。
・上→下
・親疎(相手との関係)
立場の上の人間が下の人間に対して使ったり、
相手との距離が近い時に使ったりします。
つまり、下の人間が上の人間に使ったり、
あまり親しくない人に対して使うと違和感を感じたり、
不快に感じてトラブルにもなりかねないということです。
(逆に下の人に対して丁寧体を使ったり、相手が普通体で話しかけてきても丁寧体を使えば、
「あなたとはある程度の距離を保ちたい」、「あなたとはそれほど親しくはない」
というメッセージを相手に送ることになります)
普通体は怖い
日本人には当たり前のこの意識も外国人にはあまり馴染みがなく、
これを無視して普通体を使っている人が少なからずいます。
(英語では誰でも`you`で`Do you have time?`ですよね)
前で挙げた二つのうちの「上→下」は彼らにも容易にわかるかと思います。
それでも上司や初対面の人に対して「おはよう」とか、「知らない」と言っている外国人はいますが…
これは決して彼らが丁寧体の使い方を知らないわけではなく、
気をつけていなかったり、意識が低いことから起こるのだと思われます。
それに加えて、「おいしくないです」より「おいしくない」の方が短くていいやすいですよね。
これも原因の一つとしてあるかもしれません。
問題はもう一つの「親疎」による使い分けです。
親しいのか親しくないのか、親しくしたいのかそうでないのか。
日本人でも迷うところですから、外国人にはなおさらです。
これが原因だと厄介なトラブルに発展しかねません。
解決策をはっきり言ってしまえば、
わからない時はとにかく「丁寧形」
これに限ると思います。
ただ、相手によっては、
「そんな丁寧な言葉遣いをしないでほしい。距離が遠く感じる」
という考えのフランクな人もいるかもしれません。
はっきりと言葉にしてそう言ってくれればいいのですが、
そうでない場合怖いのは相手がどう思っているかの判断を間違えた時です。
きっと相手もフレンドリーにしたいと思っているだろう、と思って普通体で話していたら、
影で「あいつはなれなれしくて失礼だ」と言われた。
私たち日本人は思ったこと全てを口に出すタイプではない人種です。
不快に思っていても心に留めておくか、相手のいないところで愚痴を言ったりします。
文化も習慣も違う外国人にとって、その判断はとても難しいものでしょう。
ですから、安全な方法として、「です・ます」の丁寧体をいつも使う習慣を身につけておいたほうがいいのです。
普通体を使って相手を不快にさせること
丁寧体を使って相手を寂しいと思わせること
この二つだったら、絶対的に普通体の使用の方を気をつけたほうがいいに決まっています。
相手との関係の深さがわからない、相手がどういう関係を望んでいるかわからない時は絶対に「丁寧体」です。
それを外国人社員を抱えている企業なら、徹底して教えたほうがいいと思います。
でないと、彼ら自身が損をすることになってしまいます。
対処法
外国人たちが使い分けを意識できる環境を作っていくしかありません。
では、どうすれば彼らが意識できるでしょうか。
初めは時間や場面を限定し、
「今から30分丁寧体で話そう」
「今日のミーティングは丁寧体ね」
「ランチの間、普通体を使ったら、おごりね」
とゲーム感覚で慣らしていくといいと思います。
周りの日本人の協力が不可欠ですね。
そのあとで、場面や相手で言葉を使い分ける方法を一緒に考えてあげるようにすればいいと思います。
見て見ぬふり、感じて感じぬふり、で「影で悪口」はやめましょう。
彼らに決して悪気はありません。
共に働く仲間として、自分ができることはしてあげてほしいと思います。
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