日本語は外国語

めんどうな助詞

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日本語教育の専門的な観点からではなく、あくまで一般企業内で外国人に接した時に聞くであろう日本語の間違いと、なぜそれが起こるのかについて、これまで多くの留学生を見てきた日本語教師としての分析をわかりやすく述べたいと思います。社内でのコミュニケーション改善に役立てていただければ幸いです。

助詞

まず、「助詞」というのは日本語を母語としない人たちにとっては非常に難しいものだ
ということを知っておいていただきたいと思います。

「『は』と『が』の違いを説明してください」

こう聞かれた時、どのくらいの日本人が外国人にわかるように説明できるかをイメージしていただければ、
どれほど助詞が難しいものかがお分かりになると思います。

私たちは母語として当たり前のように使っていますが、
いざ「なぜその状況でその助詞を使うのか」と聞かれると答えられなくなります。

当たり前ですが、文法的な用法や意味を考えずに私たちは普段助詞を使っているということです。

外国人が助詞を正確に使いこなすのは非常に大変なことですが、
これができないことで何か問題はあるのでしょうか。

例えば、

「私イギリスから来た」

「私これ欲しい」

「あなたどうしてこれ食べない?」

どうですか?

片言感がすごいと思いませんか。

ワタシ イギリス カラ キタ。

ワタシ コレ ホシイ。

アナタ ドウシテ コレ タベナイ?

こんな風にカタカナで表現する方がしっくり来ますよね。

外来語=カタカナ表記

つまりカタカナで表記した方がしっくりくるということは、
外来語に聞こえるということです。
これが「片言感」につながるんですね。

また、助詞が抜けると、子供が話しているようにも聞こえてしまいます。

「ぼく、これ ほしい」

実際には助詞がなくても意味が通じないことはないのですが、
助詞が一つ、二つ抜けただけで、とても日本語が下手な人に見えてしまうのです。

ビジネスシーンに身を置く社会人という立場なら、
社内コミュニケーションのためにも、対外的にもなんとかしたいと思うのが当然ではないでしょうか。

また、逆に考えると、もし外国人がこの難解な助詞を正しく使いこなせたら、
一目置かれる存在になることは間違いないでしょう。
営業職に就いている方ならクライアント受けは良くなると思います。

誰だって自国の言葉を上手に使いこなしている外国人には尊敬の気持ちを抱き、親近感も湧くものです。
難しい言語をマスターしたというのは努力の証でもあります。
そんなに日本のことを想ってくれているのだ、という好感さえも生まれるはずです。

では、具体的にどのような助詞の間違いが多いのかを挙げていきたいと思います。

助詞の脱落

これは前述で触れた通りです。

文の中の助詞が抜けるのは非常に多いのですが、
決して話している相手に失礼になるというわけではないので、
その辺りの心配はないかと思います。
ただ、これだけは覚えておいてください。

・すごく片言で、子供っぽい

・下手な日本語に聞こえる

この助詞の脱落は、外国人にとって「助詞」という概念がそもそも薄いことと、
数が多く複雑なことからどれを使っていいのかわからない、
というのが原因ではないかと思います。

助詞の文法的な知識を増やすより、

・単語ではなくセンテンスで話す習慣をつけること

・日本人が使った表現をそのままコピーして使うこと

・周りがその都度訂正してあげる環境を作ること

これらが大事だと思います。

助詞の誤用

話しているときはなんとかごまかしている人が多いですが、
文字にして書くと残ってしまうため、非常に目立ちます。

ルールが多く体系的に覚えることが困難なため、
数少ない自分の知っているルールに全てを当てはめてしまうのが原因です。

部屋で勉強する 部屋でいる 会議室で集まる 

部屋でカバンを置く 公園で散歩する

前が「部屋」という場所を表す言葉が来ると、自動的に「で」を使ってしまう。
これは「場所=で」と覚えてしまっているからです。

ちなみに、上の間違いは正しくはこうですよね。

部屋いる 会議室集まる 部屋カバンを置く 公園散歩する

これもやはり、「日本語が下手な人」に見えてしまいます。

一つ一つの単語に意識がいくとこのような間違いが増えるので、
これも解決方法としては「センテンスで覚える」習慣をつけることが大事です。

それが出来てから文法的な視点で用法について考えれば、
法則がわかりスッキリすると思います。
(「ある・いる」などの存在の場所→「に」、着点→「に」、
移動が行われる場所→「を」 という感じです)

そのほかに「終助詞」と言われる文末に使う助詞も厄介なものの一つです。

そうですか

そうですね

この「か」と「ね」が終助詞に当たります。

これらは文中の助詞と違って、
使い方によっては相手を不快にさせてしまう可能性があるので要注意です。

「早く日本の生活に慣れるといいですね」
「そうですか」

「この間出してもらった書類に不備があったよ」
「そうですね」

「入社以来、よく頑張っているよね」
「そうですか/そうですね」

どうですか。

一つずつ解説をするまでもないかと思いますが、一応書きますね。

一つ目は自分のことを心配してくれているのに、なにか他人事。

二つ目は間違いを指摘されたのに、知ってますよ、と開き直る。

三つ目はどちらを使うかで謙遜と自画自賛に。

語尾の一時が違うだけで、印象がだいぶ違ってしまうんですね。

相手が同意を求めている状況でも、この使い方には注意が必要です。

「いやぁ、お互い苦労しますよね」
「そうですね/そうですか」

「お互い」と言って同意を求めているにもかかわらず、「そうですか」と言う。
「自分は違う」「あなたはそうなんですね、へぇ」と突き放したように聞こえてしまいます。

「そうだね」と「そうだよ」なども語尾一字で使い方が大きく違います。

特に仕事で使うのであれば、
相手に失礼になったり、相手を不快にさせるような間違いだけは絶対に避けたいものです。

助詞の過剰使用

これも、相手に失礼になったり、相手を不快にさせることはないと思いますが、
すごく聞く側は耳に残りますし、気にもなります。

特に多いのが「の」の過剰使用です。

昨日食べたラーメン、美味しかった

黒っぽい服をよく着ます

耳に残りますし、なにか違和感を感じますよね。

これはおそらく、
日本語を習い始めた時は「日本の食べ物」「車の雑誌」などのように
名詞をつなぐときは「の」だと教わります。

その流れで日本語の先生も

「昨日食べました、の、ラーメンは〜」
「赤いです、の、カバンです」

と言って教えてしまっていることが原因だと思います。

「名詞+『の』+名詞」をまずやり、
次に「形容詞+名詞」をやり、
最後に「動詞の名詞修飾」という順で教えるので、
最初の「の」の使い方がその後も残ってしまうのでしょう。

最後に

いかがでしたか。

日本語を母語とする私たちが何気なく使っている「助詞」は非常に難しいものなのですが、
普段それに気づく人はそう多くありません。

外国人が使う日本語を聞いて初めて「変だな。でも、なんでだろう」と意識する
ぐらいの人がほとんどだと思います。

外国人が助詞の使い方を間違えても、すぐに怒り出す人はいません。
たいていの場合は日本語が話せていることの方に感心し、
「上手に話せるね」という評価をするでしょう。

しかし、仕事では外国人だとわかっていても
間違った日本語を何度も聞いたり、失礼な言い方だったりすると、
不快に思う人もいるかもしれません。

日本人はあまり感情を表に出さないことが多い人種です。

気付いたら仕事上の不利益が出ていた、などということが起こらないように、
外国人社員を抱える企業であれば、彼らの日本語にももう少し目を向けていただきたいと思います。

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