日本語教師

日本語教師の一週間

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非常勤日本語教師の一週間

日本語教師になったら、どのようなスケジュールで一週間を過ごすのでしょうか。

僕の場合はこれまで、何年かに一度スケジュール(コマ数や勤務日数など)を変えてきました。

比較的空き時間があった時もあれば、一週間朝から晩までびっしり授業に入っていたこともあります。

これまでの僕の経験を少しでもシェアし、これから日本語教師として働こうと考えている方や働き始めて間もない方の参考になればと思います。

①出勤時間と帰宅時間

②コマ数と授業時間

③全日制/半日制

④複数の機関で教える

⑤授業以外の業務(添削、担任業務)

⑥教案準備

⑦学生との交流

⑧エクストラ

①出勤時間と帰宅時間

授業は多くの機関で朝9時から9時半の間に始まります。

非常勤であれば、基本的には授業時間に間に合うように出勤すれば大丈夫です。

(実際は授業開始時間ギリギリに来る先生はほとんどいませんが…)

専任講師だと授業以外の雑務もあるでしょうし、
非常勤講師の手前あまりギリギリには行けないという思いもあるようで、
早めに出勤している方が多いです。

帰宅時間は、非常勤は授業が終わればそれ以外は拘束されませんから(授業をした分の給料しかもらわない)、
極端な話学生と同じようにチャイムが鳴ったらすぐに学校を出ることも可能です。

ただ、授業後は翌日の先生に引き継ぎをしたり(クラスは複数の先生で持つのが普通です)、
提出物(宿題、テスト、作文など)の添削をしたり、翌日の授業の準備をしたり…とやることは色々あります。

これらを学校でやらずに、うちへ持って帰れば、上に書いた「チャイムと同時に帰宅」も可能かもしれません。
それは個人個人の時間の使い方によります。

掛け持ちをされている方は、次の予定の時間があってすぐに学校を出る、ということもあるでしょう。

専任は就業時間が決まっているので(だいたい17時まで)、早くてもそれ以降、ということになります。
休日出勤はこれまで聞いたことがありませんから、そのあたりの心配はないと思います。

②コマ数と授業時間

(授業時数)

4.日本語教育機関の授業時数は、1年間にわたり760時間以上で、かつ、1週間当たり20時間 以上とするものとする。

―日本語教育機関の運営に関する基準   日本語教育振興協会

上記のように規定されているので、ほとんどの学校が次のような時間割になっています。

【一日4時間】    1コマ1時間×4 (合間に5〜10分の休憩が数回入ります)

【一週間20時間】  1日4時間×5日 
           プラスアルファ(1年間の時間数が上記規定時間に満たない場合は追加で授業を入れます)

もう少し細かくお話しすると、こんな感じの学校が多かったです。

1.9:00〜9:50

2.9:55〜10:45

3.10:55〜11:45

4.11:50〜12:40

実労を計算してみると、3時間20分ということになります。

3時間20分働いて、4時間分の時給が出ます。

2部制の学校であれば、午後同じ時間割を繰り返します。

③半日/一日

学校には2部制の学校と午前だけの1部制の学校があります。

学生の数が多いところは2部制をとっています。

1部制をとっているところの理由としては「学生管理が行き届かない」
「その時の専任講師の数だと事務作業などが追いつかない」などの理由があるようです。

午前だけの学校では、午後を足りない授業時間の補填として使ったり、
「外部の人の講演」「専門学校の体験授業」「お茶などの文化に触れるクラス」
などの特別な企画の時間として使ったりしています。

1部制の学校であれば、午前で仕事は終わります。
午後学校に残って残務処理や翌日の授業の準備、教材研究、同僚の先生方との意見交換などに
時間を使うのもアリだと思います。

2部制だと、30分〜1時間の昼休みを挟んですぐに午後の授業が始まります。

その場合、1部制で午後やっていたようなことは、午後の授業が終わった後ということになります。

④複数の機関で教える

非常勤講師であれば、複数の機関で働くのは珍しいことではありませんし、個人的には僕はそちらをお勧めします。

理由は、日本語教育機関ではそれぞれのシステムに違いがあるからです。

教師に任されていること、使用テキスト、カリキュラム、学生の国籍や質、
機関として力を入れていること(進学、就職、外部との交流…)などでかなり違いがあるため、
それらを多く経験することは日本語教師として後々貴重な財産になります。

反対に一つの機関でしか教えたことがないと、教師としての幅が狭くなり教授法に偏りが出たり、
授業のバリエーションが少なくなり、自分のキャリアにも影響してきます。

経験が多いことの利点は、日本語教師に限らず様々な仕事で共通しているかと思います。

ただ、複数の機関で教える場合、
上手に自分のスケジュールを組まないと無駄な空き時間が増えてしまい、収入に響きます。

通勤に往復2時間、4時間働いて帰る、では効率が悪すぎます。

それぞれの機関の時間割を踏まえて、うまく組むことができると理想的です。

一度外に出たらなるべく空き時間なく授業をこなし、
休むときは1日丸々準備や教材研究などにあてられると効率がいいですね。

⑤授業以外の業務(添削、担任業務)

出勤時間でも少し触れましたが、宿題などの提出物の添削や
学校によっては担任としてクラスの学生に関する業務が発生することがあります。

担任としての業務で考えられるのは
「出席率の計算、個人面談」「一緒に組む先生とのクラスミーティングの開催」
「進学用の願書や履歴書などのチェック」「面接練習」
などです。

ただ、これらは担任制度を取っていない学校であれば、非常勤は全くタッチしない場合もあります。

学期末になると、学生一人ひとりに対するコメントを求められます。(クラスレポート/学期振り返りレポート)
これはどの機関でも行われているのではないかと思いますので、
何ヶ月かに一度の業務の一つとして考えておいたほうがいいと思います。

⑥教案準備

これはいろいろな条件によって変わってきます。

まず、経験年数

浅いと時間はかかり、経験を積むに従って知識や授業案も増えるので、
それほど時間をかけなくても授業に臨めるようになります。
(必要がないということでは決してありません。時間がかからなくなるという意味です)

次に、どこで準備するか。

色々とアイデアをシェアできる環境という意味では、
同僚の先生が集まるところ(学校など)の方が教案を考える上では勉強になります。

自分一人で机に向かっているとどうしてもいつも同じような「偏った教案」が出来上がり、
色々なことを試すことで自分にフィードバックできる機会が減ってしまいます。

ただ、先述の通り、掛け持ちをするのであればすぐに次に向かわなければならない場合もありますから、
時間に余裕のない方は普段から横のつながりだけは大事にしておいた方がいいと思います。

経験の豊かな先生ほどいい教科書はありません。

⑦学生との交流

基本的には放課後、学校外では必要以上に接点を持たない方が賢明かと思います。

とはいえ、小学校、中学校とは違うので、そこまで教師と学生の付き合い方に敏感になることはありません。

これも各学校方針が違いますので一概には言えません。

僕がこれまで働いてきた機関でも色々でした。

・教師の個人情報は一切教えない。教師からも個人的には連絡をしない。

・個人的な付き合いは避けた方がいいが、悩みや病気、事故などがあった場合、
 すぐに連絡できるように連絡先は教えておく。

・クラス運営上必要であれば、教務に申告し放課後の飲み会などに出て構わない。
 (未成年などの飲酒には気をつけなければなりません)

月に数回クラスで居酒屋に行っていた学校もありましたし、
進学やアルバイトなどの身近な相談を受けても全て教務や専任講師に振っていた学校もありました。

学校の方針に従うのが一番ですが、初めにも書いた通り相手とはある程度の距離を常に保っていた方がいいと思います。

新人の先生だとどうしても学生といい関係を作ろうとするあまり、
彼らに「寄せていこう」とし、関係が近すぎてしまうことがあります。
授業にいまいち自信が持てない時期にはよくあることです。

僕にもそんな時期がありましたからわからないわけではありませんが、
だんだんと「これは違う」と思うようになってきます。

学生と教師の信頼関係は安易な方法で作れるものではありません。

また、近づきすぎると、男女間の問題に発展してしまうこともあります。

何もなくても誤解される…
自分は何も思っていなくても相手に好意を持たれる…
特定の人間を贔屓していると思われる…

ある程度の年齢になり経験も増えれば上手に対処できるかと思いますが、
経験が浅かったり若い先生は結構陥りやすいトラブルですので、
これに関しては十分に注意して仕事に望むことをお勧めします。

⑧エクストラ

これら以外に、週末のセミナーなどへの参加でブラッシュアップを目指している先生も少なくありません。

また、学校などの教育機関で教えるだけでなく、個人で動いている先生も多くいます。

・プライベートレッスン(知り合い、企業研修、未就学生など)

・ミートアップなどを開催し、人脈と横のつながりを広げる

・日本語指導も含めたツアー主催

・Youtubeなどで自作の動画の配信

などなど、様々な取り組みをしている日本語教師の方がいます。

日本語を教えるというのは社会的にはそれほど認知度の高い仕事ではないと思いますが、
確かな技術を持つ職業だと思います。

それを一つの形だけで発揮するのではなく、色々な形に発展させて発信する。

今はそれが誰にでも可能な時代になりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「日本語教師の一週間」というテーマでお話をしてきましたが、
なんとなくイメージはできましたでしょうか。

働く機関やスタイルによって変わってきますが、
全て自分でコーディネートすることは可能だということを強調しておきたいと思います。

今現役で教えられている先生、これから日本語を教えようと思っている方。
時間の使い方次第で様々な働き方が可能な仕事です。

どのようなことがしたいのか、どのようになりたいのかを考えながら理想的な働き方を実現していただきたと思います。

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