日本語の語順はSOV。
懐かしい、と感じた方も多いのではないでしょうか?
かつて英語を習った時の記憶が甦りますよね。
英語はSVOでした。
VはVerbの “V” なので動詞を表すのですが、
日本語が英語と決定的に違う点は、この動詞の位置です。
日本語では最後にくるんですね。
動詞の役割は「時制」や「アスペクト」を明確にしたり、
「モダリティ」を加えること。
これが日本語は最後に来るということです。
つまり、こう言うことができます。
→文の最後まで読んだり聞いたりしなければ “大事な情報” がわからない
完了なのか未完了なのか
相手にどんな働きかけをしているのか
話者が言わんとしていることは何なのか…
最後に “やっと” わかるんです。
・私はあの本を読ん−だ。
・私はあの本を読ん−でいない。
・私はあの本を読ん−でみたい。
日本語学習者にとっては、非常に重要な注意点となります。
ここをあやふやにすると、誤解や齟齬という形となって
実際のコミュニケーションに大きな影響を及ぼしかねません。
=================================
完了なのか未完了なのか
相手にどんな働きかけをしているのか
話者が言わんとしていることは何なのか…
=================================
前述のように、これが伝わらないわけですから当然ですよね。
加えて、漢字圏の方についてはもう一点追加の注意が必要になります。
漢字に頼りがちである、という点。
どういうことかというと、
漢字の部分だけを見て意味を理解しようとしてしまう傾向があるんですね。
つまり、ひらがなを軽視してしまう。
結果的に文中のひらがなを飛ばしたり、
最後まで文を読まず意味を理解し間違えたりします。
(全ての方ではありません。誤解のないように)
しかし前述したように、日本語において文末表現とひらがなは
非常に大きな役割を果たします。
そして、ひらがなは文末に多い。
『連絡しようと思います』
『連絡するつもりでした』
『連絡しないわけにはいかなかったのです』
これを順に、
→連絡した
→連絡した
→連絡しない
このように理解してしまう方が一定数います。
はじめの2つは “まだ連絡していない” んですよね。
しかし、まず「連絡」という漢字で判断、
次に「ます・でした」という肯定の情報から判断し、
結果的に「連絡した」という解釈に至る。
このような例をこれまで何度も見てきました。
そして、3つ目は “連絡した” んですよね。
これも漢字を含むアタマ部分「連絡しない」だけを見て解釈してしまいます。
その結果、否定の意味に取ってしまうという例、これも非常に多く見ました。
(「~わけにはいかなかった」がわかりにくい、という理由もあります)
どちらもやはり、ひらがなをしっかり見ていないことが
原因の一つとして挙げられます。
このようなことは主に文字情報によるやりとりで起こるので、
音より文字に依存している方、またその周りにいる方は
十分に気をつける必要があります。
(「時制」についてはこちらの記事でも書いています)
SVOに苦労した私たち…
SOVに苦労する人たちもいる。
これを踏まえて、ノンネイティブと接する際に
私たちが気をつけるべきことを挙げるとすると、
確認をすること
「わかっているだろう」
「大丈夫だろう」
これらは禁物です。
確認したけど、わかっていた。
それならそれでいいのです。
正確なコミュニケーションに少しでも近づけるためには
出来得る限りのアクションを行う。
細かなミスコミュニケーションが積もり積もれば
離職など双方の望まない結果に行き着くことも。
そのような可能性を少しでも小さくするために一手間かける。
これこそが重要なのです。
ただ、あまり確認ばかりしていても嫌がられますし、
“信頼” や “信用” という観点、人間関係構築上も決してよろしくはありません。
ですから例えば、
復唱してもらう環境を作ってしまう
言い換えた言葉を常に準備しておく…
このようなミスコミュニケーションを減らす工夫を
“日本人側が” しておくと良いのではないかと思います。
確認自体はそれほど労力がかからないはずです。
しかし、「面倒」というだけでこの作業を軽くみる方が多いように思います。
異文化の中で、そして外国語で頑張る皆さんの努力と苦労を思ったら、
「どう確認するか」を考える労力ぐらいは我々がかけていきたいものです。
“文化や習慣の違い” はもちろん、 ”日本語と相手の母語の違い” についても
少し知っておくと、お互いの理解に繋がり、それが結果的にストレスの少ない
コミュニケーション環境を作ることに繋がっていくのでは、と信じています。
相手を知る、相手を理解しようと努める。
その方法は、少し考えればいくつでも存在するはずです。
皆さんそれぞれの事情にあった方法で、
まずは歩み寄るところから始めていただきたいと思います。