にほんご分析

“チャック”という日本語。これって何語?

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「ジッパー閉めて!」

出掛けに息子に言う妻。

ん? ジッパー?
チャックとも言うな…
ファスナーも聞いたことがあるし…
あれは3つも違う言い方があるのか??

この中だと、僕は ”チャックが1番しっくりきます。
というか、それ以外も耳にしたことはもちろんありますが、
今まで使うことすら考えたことはありませんでした。
しかし、トリリンガルの彼女には英語の “ジッパー” に馴染みがあるようです。

ジッパーは英語。
じゃあ、自分の使うチャックって何語だ?
カタカナで書くけど英語の響きではなさそうだし
そして、どこかヨーロッパの言語の響きもする

と漠然と思い早速調べたところ、なんと日本語。
“ちゃっく” という日本語表記は見たことがないのに日本語なんだそうです。
この時点で、語源についての興味がMaxになりました。

ジッパーとファスナーは英語で、チャックは日本語。
ググると…

【チャック】
語源は巾着 キン+チャック?
1972年に尾道で製造販売された「チャック印」という商標登録名で、「巾着」をもじった造語。
これが丈夫で壊れにくいものであったため、ジッパーの代名詞になったとか。
当然日本国内でのみ通用する呼び名で海外では通じない。

【ジッパー】
アメリカでの一般的な呼び方。1921年にアメリカのグッドリッチ社が販売する際につけた商標名。
布を裂く音の擬音語「zip」からきているのだそう。
アメリカでは「ジップファスナー(zip fastener)」とも呼ばれる。

【ファスナー】
ジッパーと同じく商標名。
語源は英語の「fasten(締める)」。ネジやボルトもファスナー。
日本でいうファスナーの正式名称は「スライドファスナー」。
スライド式のファスナーは「線ファスナー」、ネジやボルトは「点ファスナー」、
マジックテープなどは「面ファスナー」と区別して呼ぶ。
YKKもこの “ファスナーを使用

これは、世代、地域、出身地、環境などによる違いが出るのでしょうか。
その時代時代でメディアなどで多く使われていたものは自然とインプットされるでしょうし、
もしかして地域的な特徴なんていうものもあるかもしれません。
よく例として出されるのが、
「うわばき/うわぐつ」
「絆創膏/カットバン/バンドエイド」
「シャベル/スコップ」

話をチャックに戻しますが、
皆さん、皆さんの身近な方はどの言い方をしているでしょうか?

記憶では僕の母は常にファスナーを使っていたような
そんな環境で育ったにも関わらず、僕自身は “チャック” オンリー。
家庭という環境だけでは必ずしも影響を受けないということでしょうか。
なんとも不思議な言葉です…

〈カタカナ表記なのに英語ではないもの〉

これは、必ずと言っていいほど日本語学習者、外国人の方から
「じゃ、一体何語なんだ?」
「なぜわざわざカタカナで表記するんだ!」
と聞かれます。

僕も聞かれて、ハッとすることはしょっちゅう。
恥ずかしながら知らないことも正直、多いです。
「そうだよな、何語で、どういう語源なんだろう。
ごめん、ちょっと時間ちょうだい」
知らないで使っている日本語って結構多いのかもしれません。
(カタカナ語についてはこちらの記事でも書いています)

ちなみに息子はこの時パーカーを着ようとしていたのですが、
この “パーカーという言葉も語源はイヌイット語だそうで、
英語だと防寒具なみのアウターに使う言葉。
カジュアルなフード付きスウェットはフーディー

こういったことを知らなくても、もちろん生活に何ら影響はありません。
通じていることはわかっていて使っているわけですから当たり前ですよね。
でも、ひと手間はかかるんですが、疑問に思った時に調べておくと
海外の方々との会話の際にはいい話題となり得ますし、
なにより言語に関するアンテナが鋭いということを相手に印象付けることができます。

日本で生活をしたり、日本語を学んでいる方々にとって
日本語という「言語」はとても大きな関心ごと。
海外の言葉や文化に興味を持ち目を外に向けるのも大事ですが、
私たちの身近にあるものにもアンテナを常に張っておくと、逆に、
グローバルな視点であったり、関係づくり、つまり彼らとの距離を縮めるのに
一役買ってくれる事になるのではないかと思います。

よく、海外に行ったり、海外の方と接する機会があったときに感じるのは、
「日本のこと、知らないな…」
みんなとは言いませんが、海外の方って自国のことをよく知っている方が多いような気がします。
歴史であったり、文化であったり…
こちらが聞いてもちゃんと説明してくれるんですね。
かたや、自分は色々と聞かれたときに答えられるだろうか、と。
こういった違いは、教育制度なども影響しているようにも思うので、
どうしようもないところもあるのかもしれません。

でも、決して今からでも遅くはない!
こう自分に言い聞かせて、日本語含め自国に目を向けていくことで、
広い視野と価値観を身につけたいと思います。

 

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