にほんご分析

ハイコンテクストの洗礼は日本語上級者にも

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日本語はハイコンテクストと言われる言語に分類されます。言語外の情報の重要度が高く、そして重視もされる言語のことです。

文化的な側面も加えてもう少し詳しく言うと…

・重要な情報でも言語で表現しないこともある
・曖昧な表現が多い
・ノンバーバル(言語外)情報の役割大
・一般的な共通認識と常識に基づいている
・感情的に何かが決定されることがある

先日、某大手Tech系企業にお勤めの方からSOSをもらったのですが、
「こういうのばっかりだよな…
外国人の多いグローバルなイメージの職場なのに…」
と、思ってしまいました。

社内情報共有ツールでのやりとりだそうです。

外 : 「この内容が共有される範囲として監査役も含まれますか。代表取締役、取締役はこれに当たるという認識ですが」

彼女の日本語も相当なものです。
独学でN1にパスしています。
この彼女の問いに対する返答がこちらです。

日 : 「監査役はいいのではないかと思います」

ただ、彼女の質問自体も少々「おかたい」気はします。日本語ができる方というのはどうしてもこのようなおかたい文を作りがちなんですよね。

話を戻します。
以下が彼女のSOSです。

「この『いい』はどちらですか?監査役に情報の共有をするということですか、しないということですか」

私たちは普段、『いい』を次のように使い分けています。

①肯定
「いいです」「大丈夫(問題なし)」

②否定
「(~なくても)いいです」「いらない」「必要ない」

今回の場合は②の方なのですが、上の会話ではどちらなのかを判断する材料(「いいえ」「取締役だけで」など)がありません。これでは、迷いますし確認したくもなりますよね。

表情や声のトーンなどのノンバーバル情報があれば理解の大きな助けとなりますが、文字情報だけだと理解のハードルはグンと高くなることの実例です。

そして、言葉の使い方の他に考えなければならないことがもう一つ。
メッセージを送った本人ではなく僕に聞いてきた、ということです。

「聞けなかった?」「聞かなかった?」

外国人材を雇用する企業や共に働く同僚として、どの程度認識できていて、どう捉えているか。このあたりが、外国人材との共生の鍵となるのではないかと思いました。

*ハイコンテクストな文字のやりとりとリモートワークについてはこちらの記事でも書いています。

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