日本語がよくできる方
資格の一つであるJLPT高得点の方
業務で日本語を磨いてきた方
“コミュニケーションと情報の共有” という視点で見た場合、このような方達にはあえて言葉を難解にする、文語的にする、という方法がいいかもしれません。
“あえて” です。
なぜか?
「簡単な方がわかりやすいに決まってるだろ!」
こう思うのが普通でしょうし、セオリーの逆を言っているようにも聞こえますよね。でも、それは言語学習の過程を自分の価値観に当てはめてしまっているからこその思考なのです。
「下から順に積み上げるのが普通。だから簡単な表現ほど理解しやすい」
実際に高度人材で一流企業で働く方、業務でバリバリ日本語を使いこなしている方の中にも、超基本語彙や文法を知らない人が多い、という話は我々の業界では実はあるあるなのです。
1から積み上げて学習していないことが大きな原因としてあります。 実践や現場で鍛えられた方達も多いんですね。
でも、決してこれが悪いと言っているわけではありません。むしろ、言語とはあくまでコミュニケーションの手段にすぎませんから、実践力、その場力があり不自由を感じていないのなら理想的と言っても過言ではないとさえ思います。
ただ、躓くことはもちろんあるんですね。
それが彼らの場合、 “簡単でカジュアルな表現” なのです。
我々がどんな日本語を使うことが彼らにとってわかりやすい言葉となるのか、正解は一つではありません。日本語力、学習背景、置かれた環境などさまざまな要因によって違います。
企業で働き、ビジネス日本語を毎日のように “浴びて” いる人たちはカジュアルな表現や基礎語彙が抜けているケースが多かったりするのです。
「できないなら、そこを補強べきでは?」
またまたそう思うかもしれませんが、
違います。
彼らはそこに来るまで既に相当な努力を重ねています。言語の面でも、異文化社会の中で働くという面でも。加えて、かなりのストレスも抱えています。
そう考えると、彼らに伝わる話し方を我々が “カスタマイズ” してあげれば話はもっとシンプルなのでは? と思うのですが、いかがでしょう。
コミュニケーションにおいて何よりも大事なこと
伝わり、情報を共有すること
これだけなんです。
「こうだろう」
という先入観は一旦忘れてみてください。
そして、目の前の方をしっかり見る。
その上でより良いコミュニケーションを模索してほしいと心から思います。
*日本語上級者が苦労する日本語についてはこちらの記事でも書いています。