にほんご分析

変化する社会の中で広がり続ける日本語の使い方

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「こちらは女の子になります」

とある休日に子供を連れて行ったペットショップで聞こえてきた店員の言葉です。

(犬かネコの話だろうな

そう思って、声のした方へ顔を向けてみるとビックリ。
なんと、クワガタの話だったんです。

(なに? 最近は動物だけじゃなく昆虫も男の子” “女の子と呼ぶのか??)

軽く衝撃でした…
しかも動物を扱う店の店員の言葉。
自分が遅れているのか、はたまた最近の言葉遣いの広がりが過剰なのか、子供をそっちのけにして暫しその場で考えてしまいました。
職業病ですね。

ペットに対する言葉の使い方を見てみると、最近は本来のルールから外れて使っていることが増えてきている、ということは薄々感じてはいました。

【死ぬ/亡くなる】
・人には「亡くなる」「死ぬ」
・動物には「死ぬ」

これが正しいのですが、最近では動物にも「亡くなる」を使うことも。
むしろそちらの方が主流になってきている気もします。

【あげる/やる】
・同等の「人」には「あげる」
・目下、動物、植物には「やる」
(例:子供に教えてやる・花に水をやる

ですが、最近では動物や植物にも「ご飯/水をあげる」なんて言いますよね。

ご飯という言い方に関しては今回は割愛します)

ペットの場合は、特に飼い主の想いも含めた言葉の選び方動物に対する心理的距離の近さなどから人に対するそれと同じような言葉の使い方になっていると思うので、そう考えれば理解することはできます。

家族の一員、なんですよね。

こうした “心理的に近い動物に対する呼び方の変化には、それほど目くじらを立てる人は少ないでしょうし、逆にそれを強く指摘するような人だと、それはそれで周りとのコミュニケーションは難しくなってしまう時代なのかとも思います。

言葉は社会や時代とともに変化していくものですし、使う人間を置き去りにした言葉では温度が感じられません。ですから、動物に対する言葉の使い方も使う人が納得して使っているのであれば、それでいいのかなと思います。

ただ、昆虫か

正直、昆虫にはまだ違和感があります。
うちで飼っているのであれば、犬や猫と変わらず大事に家族として育てるんでしょうから違いはないはずなんですが、なぜでしょう。。。

カブトムシ、カマキリ、カナブン、セミ、バッタ

子供と虫取りに行って、
「捕まえたぞ!おぉ、男の子だ!」
そう言える自信は今のところないです

でも、今後はどうなっていくのか分かりませんね。全ての生き物にも人と同じような呼び方をするようになるのかもしれない。分け隔てなく、という意味で。
最近では、全ての子供に対して「〇〇さん」(「君」「ちゃん」は使わず)と呼ぶよう指導している小学校もあるそうですから、あり得なくもない話ですね。

冒頭の「女の子になります」の「~になります」にもザワザワするのですが、そのお話はまたの機会にさせていただきたいと思います。

*「私」「オレ」「僕」についてはこちらの記事で書いています。
 ご一読ください。

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