すぐにできる日本語の見直し
近所に外国人がいる
職場に外国人がいる
お客さんとして外国人がよく来る
公的機関で働いていて外国人が手続きなどに来る…
近年、外国籍の方を目にする機会が増えたと感じている人は多いのではないでしょうか。
飲食店やコンビニエンスストア、回転寿司チェーンなどで働くスタッフは
外国籍の人が多い?と思うほど、私たちの生活の中に溶け込んでいます。
海外だと英語さえできれば意思の疎通にさほど困ることはないですよね。
しかし、日本でのコミュニケーションは主に日本語です。
英語は教養として身に付いている人が多い言語ですが、日本語はそうではありません。
そもそも世界的に見て日本語は全くメジャーでもなければ、使えて便利な言語でもありません。
そんな言語を一生懸命使ってコミュニケーションを取ろうとしている外国人たちに対して
私たち日本人ができることとはなんでしょうか。
「日本語って難しいでしょ〜」「何を言っているかわからない」
「日本に来たんだから日本語を覚えてくれ」「日本語ができないのになんで働いているんだ」
「日本語ぐらい覚えてから来い」…
こんな風に思うことではないんですね、絶対。
私たちが海外で言葉がうまく通じず、萎縮してしまう時のことを想像してみてください。
しかし、たとえ私たちが彼らの日本語に理解を示したとしても、
前述の通り「日本語は全くメジャーではなく非常に難しい言語」なのです。
まずは私達日本人が日本語を「外国語」としてみることができれば彼らの苦労が理解でき、
より良いコミュニケーションのためすべきことが考えられるようになるはずです。
一言にコミュニケーションと言っても、それを構成する要素は多くあります。
ここでは日本語という「言語」からのアプローチで外国人とコミュニケーションを取る上で
私たち側にできることをお話ししていきたいと思います。
これからあげる項目は、一人一人の日本語のレベルにもよりますので、
全ての人に当てはまるわけではないことをご承知おきください。
1.複文ではなく、たくさんの単文で話す
聞き慣れない言葉だと思いますので、「単文」「複文」の例を出してみます。
・この紙は申込書です。書いてください。明日出してください。(単文)
・この紙が申込書なので、書いて明日出してください。(複文)
私達も他の言語で感じることですが、一文が長くなると意味を取りにくい。
「理由(〜ので)」「並列(〜て)」「目的(〜ために)」
などを表す接続詞が入ると分かりにくくなってしまうのです。
日本語教育でも、上記の「ので」は学習を始めてから少なくとも3ヶ月以上は経たないと勉強しません。まだ日本語を使い始めてそれほど時間が経っていない相手の場合は気をつけたい使い方です。
2.文の倒置をやめ、正しい語順で話す
私たちはこの「文の倒置」を普段無意識に行っています。
あることを強調するために語順を変えていることが多いのですが、正しい語順で日本語を学んできた外国人には分かりにくく聞こえ、依頼や指示の内容が正しく理解できなくなることがあります。
しかも、彼らにこの「強調」の意図は伝わっていないことがほとんどです。
「週末までに仕上げられる、資料?」
→「週末までにこの資料を仕上げてください」
「仕上げられる資料」という意味にも取ってしまったり、ただの質問で依頼や指示と取られない可能性もあります。
仕事などで日本語を使って「指示」を出す場合は注意が必要な使い方です。
3.助詞を省略しない
カジュアルな会話では「助詞」がよく省略されます。
(省略できない助詞もあります)
省略しても意味は変わらないことも多いですし、親しい間柄で助詞をしっかり入れて話すと堅苦しく、却って違和感を感じるからです。
しかし、これも相手が日本人なら、です。
実は、外国人が相手でも意味が通じないということは僕のこれまでの経験でもありませんでした。
しかし、サラッと言われると少し混乱することはあるようです。
日本語のテキストなどでは、もちろんしっかりと助詞を使った文が提示されています。
また、我々が助詞を省略した話し方をしていると、外国人は真似をします。決して悪いことではありませんが、正しく使えないと彼ら自身が困る場面があります。
それは、
・仕事で使う時
・プレゼンなどで人前で話す時
・文章(メールや書類)を書く時
などです。
つまり「場面や相手によって使い分ける」ことができれば問題はないのですが、彼らそれができるかどうか、ということです。
「去年日本来ました。国でエンジニア仕事しました」
「この間書類できました。部長見せて〇〇さん渡します」
どちらも少し残念な日本語に聞こえてしまいますし、社会人として企業に属するなら改善すべきです。
私たち日本人は正しい言い方を知った上で省略しているのです。
しかし彼らは、面倒な助詞を使わなくてもいいなら使わない!と考え、いつまで経っても正しく使うことができなくなってしまいます。
彼ら自身にとっても、いいこととは言えないのです。
4.普通体で話さない
「普通体」というのは、「です・ます」ではない形で使われる日本語のことを指します。
(ちなみに、「です・ます」は「丁寧体」と呼ばれます)
友達などの親しい間柄や、立場の下の人に対して、家族間、新聞や小説などの文体の一つとして使われています。外国人との関わり方でこれらのような立場にある方は、「普通体」で話すことが多いのではないでしょうか。
「取引先に連絡、した?」(普通体)
「取引先に連絡をしましたか。」(丁寧体)
まず、彼らが日本語を学ぶ過程と順序を考えると「普通体」はしばらく経ってからでないと学ばないので、日本語を学び始めて間もない外国人であれば、きちんと「です・ます」で話した方が通じる可能性は高くなります。
次に、この普通体も「助詞」と同じで、外国人は真似します。
この普通体の場合、「相手や場面による使い分け」ができないと、コミュニケーションに重大な支障をきたす恐れがあります。
[普通体はタメ口?]
こちらの記事で詳しく書いていますのでご一読ください。
5.「〜てください」は動詞の変形を覚えてから
日本語を学び始めて間もない場合、動詞の変形を覚えるまで2ヶ月ほど時間がかかります。
それまでは「〜ます/ません/ました/ませんでした」を使います。
(「〜する/しない/した/しなかった」も使えるようになる教科書もあります)
「〜てください」で表す「お願い」や「依頼」「忠告」「注意」が伝わらないと、
双方にとって困ることが多くあります。
仕事ではもちろんのこと、公的機関や金融機関、病院などで
指示や依頼、忠告、禁止事項が聞き取れないと大きな問題に発展しかねません。
日本語がまだそれほどできないな、と感じたら、
「〜ます。お願いします」
と2文に分けたりして言ってみてください。
「検査当日の朝は何にも食べないでくださいね」
→「検査の日の朝は、何も食べません。お願いします」
→「検査の日の朝は、食べます。ダメです」
特に確実に伝わることが必要な事柄の場合は、
ほんの少しだけ話し方を変えることをお勧めします。
*こちらも参考にしてください。
[外国人に伝わりやすい日本語とは? Part2]
[外国人に伝わりやすい日本語とは? Part3]
[外国人に伝わりやすい日本語とは? Part4]
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